やり過ぎは成功へのいちばんの近道――この言葉は、少なくともクイーンの画期的なアルバム『A Night at the Opera(オペラ座の夜)』には当てはまる。このアルバム・タイトルでまず思い浮かぶのは、クイーンというバンド独特のオペラ的な趣向だ。本作中それが端的に現れているのは、かの名曲「ボヘミアン・ラプソディ」だろう。その昔にヘヴィー・ロック・ファンの熱い支持を得、ずっと後になって映画『ウェインズ・ワールド』で人気が再燃した曲である。もちろん、『A Night at the Opera』というのはマルクス兄弟の映画『オペラは踊る』の原題でもある。この符号は偶然ではない。ポンプロックの頂点を極める際にも思わせぶりなウィンクを忘れないのがクイーンなのだ。 繊細なる過剰演出ぶりで記憶される本作だが、実はバラエティ豊かな楽曲がそろっている。ゴージャスなピアノに支えられた「マイ・ベスト・フレンド」、ポール・マッカートニー風の「'39」、ミュージック・ホールが似合いそうな「うつろな日曜日」、メタル・ロックにペダル・キーボードを導入した「デス・オン・トゥ・レッグス」と「アイム・イン・ラヴ・ウィズ・マイ・カー」など、実に多彩だ。本アルバムはもっともクイーンらしいアルバムといわれているが、これは当然の評価だろう。(Daniel Durchholz, Amazon.com)